会社の帰り、いつもは閉店していた古本屋が、たまたま今日は開いているのに気付く。
なんのことはない、自分がたまたま早く退社できただけで、古本屋が珍しく開店していたわけではない。

軒先にはいい具合に経年劣化で茶色くなった実用書や文学書が100円均一でさらされている。
暇を潰すのにいい本はないものかと店に入る…正面のカウンターには店主らしい老人が、手元の本から視線をこちらに向けるでもなく、「いらっしゃいませ」の一言もなく、ただ佇んでいる。
ブックオフみたいにうるさいのもなんだが、黙殺されるのも釈然としない。まあいいけど。

店内はほどよく心地よい温度で、これまたほどよいボリュームでクラシックがかかっている。これはボレロか。ぶらぶらなんとはなしに店内をぶらつきつつ、気付けば書棚の前で立ちすくんでいた。別に特定の本に興味を引いたわけではない、雰囲気に飲まれてしまった、というべきか。

実際、この店が商売になっているかどうかは皆目見当付かないが、こんな空気の中で一日を過ごせたらどれだけ落ち着いた人生を過ごせることだろう。
お茶を飲みながら本を読みつつ、夜になったら店を閉める。
勿論、そんな甘い商売がまかり通るわけではないわけだが。

結局何も買わずに店を出た。「ありがとうございました」の声がなかったのはかえって有り難かった。

オチはありません。

コメント

クロ@カードショップライブラリ店長
2010年4月14日22:02

内情はプレミア本のネット販売でぼろ儲けなので、ハコはただの趣味なのです。

DDD
2010年4月14日22:40

なん…だと…
いいなー
俺も趣味でハコ持ちたい。できればmtg専門店とかw
DDD

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